春待雨

ほとんど事務所から出ずに仕事をしたので、帰るときになってすごく寒いと気付きました。
ここ二日でたまっていたデスクワークもかなり片付き、多少はすっきり。
まだ完全には終わっていませんが、まあめどがつきました。
仕事は好きだし働くのは苦にならないのですが、友達の話を聞くとやはり職場の人間関係がいいからでしょうね。
学生時代のバイトを含め、人間関係の悪い職場に当たったことがないんです。
それなりに衝突はあっても、遺恨を残さず次に進めるというか。
こればっかりはその職場に入ってみないとわからないことなので、恵まれているのだと思います。
仕事熱心もいいんですけど、そろそろ余裕が欲しいところ。
今週の土曜日は休めるかなあ。
余力しだいで準備しております。

枕守

「ここの碑文はどう読む?………あれ」
 つい数分前まで熱心に同じ魔道書を見つめていた双眸は安らかに閉じられ、静かな寝息がもれている。
 アンバーはそっとリスクの肩を抱き寄せ、バランスを崩してあらぬ方向へ転がらないように、自分の肩にもたせかけた。
 疲れているのも無理はない。珍しく仕事もないここ最近、まさに晴耕雨読の毎日で、特に今日はこの時季しか採れないきのこを昼間のうちに山ほど採ってきて、夕飯にたらふく食べた。
 アンバーがリスクほど眠気を感じないのは、男女の基礎体力差というやつだ。
 魔道書の続きを追う視線も、ついついリスクに吸い寄せられる。
 きれい……だな。
 ぼんやりとそう思いながら、アンバーは魔道書に視線を戻した。
 内容は一応頭に入れながらもリスクが気になって仕方がない。くすぐったいような重さが甘く感じられ、どうしてもそちらへ注意がそらされる。
 アンバーは一度、冗談めかしてそのことをリスクに言ったことがある。
「お前が気になって、他に注意すべきことがあるのに、それどころじゃなくなる」と。
 返ってきた反応は、意外だった。
「あ、オレも。よくあるよ、そういうこと」
「…………お前も?」
 リスクよりアンバーのほうが驚いただろう。笑ってしまえるほど真面目で正直な現ヴァンデッドが、何より優先すべき仕事より注意をひかれることがある、というのだ。
 当のリスクは、そのことをさほど大問題とは思っていないようだった。
「うん。けっこうまずい、と思ったりする」
 それはまずいだろう。ヴァンデッドは最強の魔法使い。何者にも負けることは許されない、やっかいな称号。
 だが問題はない、とリスクは言う。
「オレを倒したやつが次のヴァンデッドだし、そいつが魔法使いでなくても他の、オレの次に強いやつがヴァンデッドだし。理想は後継者を見つけて円満退職。でなくても、ヴァンデッドの名は途絶えない」
 過去の歴史の中では、実際そういう形でヴァンデッドを継いだ者もいないわけではない、らしい。
「アンバーに気を取られて負けるなら、それもいいかなって思う」
 照れたように笑った少女を、思わずきつく抱きしめてしまったことは忘れられない思い出だ。
 悪あがきをあきらめ、アンバーは魔道書を閉じた。
 結局のところ、この少女以上に自分の興味を引くものなど存在しないのだから。
 ベッドに運ぶのはもう少し後でもいい。
 しばらく見惚れていようと決めたアンバーは、リスクを抱きかかえるようにして居心地を整え、そのひょうしに乱れてリスクの顔を隠した髪の毛を払いのけた。
 どうせまたすぐに仕事が飛び込んでくるだろう。
 それまでは、リスクの時間は自分のものだから。
 何かと言い訳をしつつ、アンバーは夜更けまで枕守となっていた。

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 恒例、疲れているときの甘いもの。
 アンバーにいい目を見せよう、と思ったのですが…ま、こんなところです。
 私の書く男性像は割と情けないですね。

新年初

あけましておめでとうございます。
本年も、更新の遅い当サイトを長い目で見てやってくださいませ。

今日は新年三日目の仕事。
そしてある意味、記念日。
ええ、私、「初・社長に大声で言い返した」記念日です。
そして周囲の社員が誰も動じていないことに軽く驚愕。
どうやら私の前任者にとっては日常茶飯事だった模様。
一緒に仕事をした三ヶ月間は私に引き継ぐことを教え込むのに忙しく、書類にだらしない社員と自分の知らない仕事にも口を突っ込んでくる社長の最後の堤防となっていた几帳面な先輩の、そんな一面を見ることはありませんでしたが。
常々、あの社長とあの几帳面な先輩がどうやって長年一緒に仕事をしていたのだろうとは思っていました。
・・・納得。
新年早々、ふっきれた気分です。
この会社、けっこう自分に向いているのかも。